おなかにてあて

子どもに伝えるおなかのお話

亜鉛

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 カルシウムやナトリウムなど、ホメオスタシスの維持には絶対に必要なミネラルがあります。
一方で水銀や鉛など、体内に蓄積すると悪影響を及ぼす有害ミネラルもあります。
しかし有害ミネラルが体内に入るのを完全に防ぐことはできません。
例えば水銀は海底に沈んでいるため、魚介類を多く食べる日本人はどうしても取り込んでしまいます。
ですから、取り込んだ有害ミネラルは体外に出していかなければなりません。
デトックスが大切なのです。

この有害ミネラルのデトックスをするのに、先ずはからだに必要な良質ミネラルをしっかりと取ることが大切です。
なぜなら、からだに必要なミネラルは有害ミネラルと交換する形で細胞の中に入っていくからです。
逆に有害ミネラルを多く体内に取り込んでしまうと、からだに必要なミネラルは体外に出ていってしまいます。

しかし、からだに必要なそれぞれのミネラルにはそれぞれたくさんの役割がありますので、闇雲に取れば良いというものではありません。
今日はそのうちの一つ、牡蠣などに多く含まれる亜鉛についてお話ししましょう。

亜鉛の代表的な働きの一つは、正常な皮膚代謝への働きです。
傷を癒したり、皮膚の炎症を抑えたりする効果があり、ニキビにも効きます。
その他代表的なのは、視力の維持への働きです。
視力の維持にはビタミンAが必要です。
ビタミンAが不足すると暗くなると視力が落ちる夜盲症になりやすくなります。
そのビタミンAの働きをサポートするのが亜鉛です。

話がミネラルからそれますが、気をつけて欲しいのはビタミンAやビタミンEは脂溶性ビタミンで、脂溶性ビタミンを取り過ぎるとかえって病気になりやすくなるという海外論文があります。
これは、安価に作ったサプリメントには製剤を長持ちさせるためにその分子構造を変えているものがあります。
分子構造を変えた、言わばなんちゃってビタミンを取るとかえって体内の栄養バランスを崩してしまうのです。
残念ながら、天然由来成分のビタミンは長持ちしないのですが、信頼できる天然由来の新鮮なサプリメントを選んでください。

亜鉛の働きで最も素晴らしい働きは、体内の代謝を円滑にする代謝を司る300以上の補酵素であることです。
DNAの合成や修復にも働きます。

ちょっと難しい表現なので説明しておきますね。
様々な栄養素はからだの中で働くときに、色々形を変化させバランスをとっていきます。
形を変えるときに働くのが酵素です。
酵素が足らないと全身の働きが落ちてしまいます。
ただ酵素だけでは円滑に働くことができないので、酵素の働きを助ける補酵素により変化のスピードを上げていくのです。
亜鉛の場合は代謝に関わる300以上の変化に関わっているのです。

他にも亜鉛の働きには免疫力の強化があり、急に花粉症になったりした原因が、実は亜鉛不足であったなんてこともあるのです。
さらに亜鉛は、ドーパミン、セロトニン、アドレナリン、GABAなどの脳内の神経伝達物質の調節にも関わるため、亜鉛不足が深刻なうつ症状の原因になったりもします。

このように亜鉛は、たくさんの大切な役割を担っているため妊娠中の女性には特に必要です。
妊娠初期は大量の亜鉛を消費するため、味覚異常が起きやすくなったり、亜鉛が不足すると胎児の成長が遅れる恐れもあります。

カルシウムやナトリウムに比べるとなじみの薄い亜鉛ですが、代表的な働きでもこんなにあります。
最近私は、様々な深刻な症状でお悩みの方には医療機関で積極的に栄養解析などの検査を受けて、先ずは自分の栄養バランスをしっかりと把握することをお勧めしています。
そのきっかけに、他のミネラルについても参考になるお話をこれからもしていきますね。

それでは、次回更新は4月19日(金)です。お楽しみに。

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