おなかにてあて

子どもに伝えるおなかのお話

ストレスが脳にどんな影響を及ぼしているか

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前回はストレスと副腎の関係から、ストレスに関わる二つの回路についてお話ししました。
今日はストレスへの反応として副腎からホルモンが分泌される前に、脳にどんな影響を及ぼしているかお話ししましょう。
それによって、ストレスへの対応をどうすれば良いのか考えてみましょう。

生きているかぎり様々なストレッサーが、からだの外からも、中からもやってきます。
それによって起こされるストレスはなにも悪いことばかりではなく、我々が生きていく上でとても大切なことです。
爬虫類の時代には、種の生存が危うくなるようなストレスに対して、瞬時に戦うか逃げるかの判断を起こすための仕組みを備えました。
そこから哺乳類や人類が進化した中でも、その仕組みによりストレスから神経を研ぎ澄ませたり、集中力を上げたりすることができるのです。

しかし、人間の生活は便利になった反面、複雑化し多くのストレスが生まれました。
そして、そのストレスに過剰に反応してうまく対応できない人も増えています。
ストレスを処理する脳の回路に余裕がないと、他の人には何でもない出来事が過剰な反応を引き起こしてしまうことがあるのです。
ストレスへの反応が強く働くために、パニック発作を起こしたり、自制心がうまく働かないために、気分がひどく落ち込んだり、逆にキレやすくなってしまったりします。

このような反応が起きやす人は、脳のうちでも扁桃体というところが強く働きすぎてしまうのです。
扁桃体の反応に強く関わる自律神経が交感神経です。
交感神経は素早く興奮を起こすことができる反面、ちょっと落ち着いて冷静に考える余裕をなくしてしまうことがあります。
ストレスにより起きた扁桃体の反応は交感神経を使い副腎にアドレナリンを出すように伝えます。
つまり扁桃体はストレスを増強させるアクセルの働きをしているのです。
この扁桃体の働きに対して前頭前野というところが理性を働かせちょっと落ち着いて考えたり、記憶を司る海馬というところが過去の経験から「そんなに心配することはないよ。」と安心させてくれたりします。
扁桃体がアクセルなのに対し、前頭前野や海馬はブレーキとしてストレスに働くのです。
しかし、普段から交感神経の興奮が強すぎると、ストレスにより扁桃体に起きた興奮反応が、それを抑えるブレーキに勝り、扁桃体が起こした興奮がさらにストレスになり、それがまた扁桃体を興奮させるという負のフィードバックを起こしてしまうのです。
これによって爬虫類の時代に出来、今でも人間の中に残っている「戦うか逃げるか」の判断しかできなくなってしまいます。
これではそんなに恐怖でもない出来事も全て恐怖に感じてしまいます。

扁桃体は感情脳とも言われ、楽しいときにも働きます。
ですから感情豊かに暮らすためには扁桃体の働きは大切です。
それにストレスを増強させるアクセルの働きは、そもそも命をつなぐためにできた働きです。
感情豊かに生き生きと暮らしたいと思えば思うほど活発になるところなのです。

私も色々な場面で扁桃体を落ち着かせるお話をすることがありますが、気をつけないと感情を過度に押さえつけることにもなります。
感情豊かに生きたいために、ときには暴走してしまう扁桃体と交感神経。
では、暴走したために不安な日々を送ることのないように、うまくバランスをとるにはどう生活したら良いのか、それを時々お話しますね。
良かったら参考にしてください。

それでは、次回更新は3月15日(金)です。お楽しみに。

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