おなかにてあて

子どもに伝えるおなかのお話

力の入れ具合

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ついこの前の徒手療法のセミナーのことです。私と親子ほど年の離れた先生もいて、私が参加者の最年長。それでもまだまだ若い人たちには負けないぞと若い人とペアを組んで実技練習をしていました。

すると相手の若い人から技を受けている時に「力を抜いてください」とやたらに言われてしまったのです。若い頃から身体は硬かったし、田舎暮らしの何気ない作業の繰り返しで肉体疲労は慢性化してますが、自分ではそんなに力が入っている意識はありません。しかし、どうやら力んでうまく力が抜けていないようなのです。何しろ自覚がないものですから抜けと言われても力が抜けるわけがありません。逆に抜けと言われれば言われるほど力が入ってしまうような始末です。

今度は自分が技を振るう番には、何か力の入れ具合がしっくりこないように感じてなりません。それは力んでしまうと言うよりはうまく力が入れられないという感覚が強いのです。その日のセミナーは結局終始うまくいかず、若干落ち込み気味に帰ってきました。

それでも負けず嫌いな私は「歳のせいにしてたまるか」と、翌日からそのセミナーで学んだ技術を臨床に取り入れて考察してみました。簡単に歳のせいにしていたら、お医者さんにただただ「歳のせいですね」と言われてがっかりして私のところに相談に来てくれたクライアントさんに顔向けできません。

私なりの答えはすぐに出ました。

力を抜こうとするのではなく、うまく力を入れて身体を動かすにはどうしたら良いのか考えてみたのです。力を抜くためにはまず力をしっかり入れられなければなりません。考えてみたら初めて気がついたことではありません。治療家を目指し始めた頃にも散々考えたことです。あの頃は初めて取り組むことばかりで、とにかく一つひとつ技を身につけるのに苦労した記憶があります。それから15年以上が経ち、歳と共に身体のバランスが崩れ、力の入れ具合も崩れてしまったのです。

でも今この状況に在ることがとても幸せに感じます。なぜなら2歳を過ぎた凪が、それこそ生まれて初めて体験することに一つひとつ全身を使いチャレンジして成長していくのを見ながら、50歳を過ぎた私がもう一度自分の身体と向かい合い感性を育てていくのは、何か凪と私の間に共有する感覚が持てて嬉しいのです。

私も人生まだまだです。