おなかにてあて

子どもに伝えるおなかのお話

身体と心のスペースとギャップ

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皆さんはスペースとかギャップという言葉を普段使いますか?

日本語に訳するとスペースとは空間と表現され、ギャップとは隙間と表現されます。空間も隙間も同じではないかと思うかもしれませんが、同じと言えば同じ、違うと言えば違うという感じでしょうか。何かと何かの間に存在するもので、どちらかと言うとスペースは安定を、ギャップはずれを表す時に使われます。

私たち徒手療法の世界で身体の機能や構造を説明するときに、関節と関節の間に程よいスペースが空いていて、その中が滑液と言う関節を保護する液体で満たされて痛みを起こすことなくスムーズに関節が動くとか、筋肉と筋肉が癒着してうまく滑走して動かないときに、その筋肉と筋肉の間にギャップを作るように動かしてリリースするなんてていう時に使います。

そしておもしろいことに心のあり方に対しても、気持ちにゆとりとしてのスペースがあるとか、人と環境の間に起きるギャップに対してどう適応するかなどとも表現します。身体も心も程よいスペースを保ち、動きや環境から受けるギャップをどう捉えバランスを取るのかがホメオスタシス(恒常性)を保つポイントとなるのです。

スペースとギャップは一人の身体や心の在り方に起きるだけではなく、人と人との関わりの間にも起きます。私の治療の場面においては、クライアントさんとの間に程よいスペースが保たれ、クライアントさんが持っている身体や心のギャップを少し共有させていただき、どんな方向に進んでいけばもっと心地よく暮らせるのかを一緒に考えることができた時にサポートがうまくいくことが多いです。そしてその感触は難しい知識や情報を知らなくても、お互いの間にあるスペースやギャップを感じ取る感受性があれば手に入れられると思っています。実際本能で生きる動物たちはその感受性を大切に生きているのです。逆に他人からスペースとはこのくらいの間隔で、ギャップを埋めるのにはこんな方法がありますと教えられても、感覚的に分かっていなければうまくいかないような気がします。

私は凪に周りが少しひやっとするようなことでも、できるだけまずはやってみさせるようにしています。意識して真似しているわけでもないのですが、野生動物の親が子どもにさせるような感覚です。そのためよく転んだりつまずいたりして、顔なんて生傷が絶えません。それでも大人の何倍ものエネルギーを注ぎ感じ取るその姿には感動すら覚えることがあります。これから育つにつれ、できるだけたくさんのことを体験し、たくさんの人と色々なことを共有をしてくれたらなと思います。