おなかにてあて

子どもに伝えるおなかのお話

心地よい運動習慣

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スポーツの秋、皆さん運動を楽しんでいますか?

勝美内臓調整療法院では調整の他に、日常生活の中でできる運動をアドバイスしています。多くの方が運動習慣が不足しているために、呼吸や循環の機能が落ちているのです。せっかく自律神経の調整を施しても、身体を動かさなければ呼吸や循環の機能を活性化することはできません。

全く動かないのは良くありませんが、無理して動き過ぎるのも良くありません。動いたほうが良いと言っても痛みをこらえてまでして動いていたら、つらい痛みから来るストレスによって自律神経が乱れてしまいます。まずは治療により痛みを起こす原因を改善し、その後痛みをコントロールした運動プログラムを立て、進めていきます。

運動プログラムは一人ひとりの体質や体調、その人が目指す目標によって変わってきます。更にはライフスタイルや仕事の環境によっても変わってくるのです。

では一体どんな運動をどのくらいしたらいいのでしょうか。

例えばこんな風に聞かれたとします。「来週家族で出かけるのですが歩いて大丈夫ですか?」

私としては、せっかく動く気になったのですから励ましてあげたいところです。そこで、こんな風に基準を伝えます。「歩いていて痛みを感じたら、もう歩くのを控えましょう。」

ただこの方の歩き方に問題があるかもしれません。痛みが出るか出ないかが歩くフォームによるのです。ですから痛みの出ない歩き方は事前にお話ししておきます。

歩くスピードも大切です。ゆっくりがいいのか、軽い速足がいいのか、それとも走った方がいいのか。この場合歩くスピードを運動の「強度」と言います。「強度」とは運動の強さのことです。ウエイトトレーニングで言えば、10kg持ち上げるのか、100kg持ち上げるのかのことを言います。もし歩いていて痛みが出たということは、その運動がその人にとって強過ぎたのです。

しかし、その方が高齢者かひどく自律神経が乱れている人でしたら、痛みが起きる前に疲れを感じた時点で休むようにアドバイスします。痛みが起きるまで歩いてしまったら、すでにバイタルの異常が起きている可能性があるからです。

「強度」に対してウォーキングで言えば時間、腕立て伏せで言えば回数を運動の「量」と言います。歩いたその日は痛みが出なかったけれど、翌日に痛みが出た場合は「量」が多過ぎたのです。つまり長い時間、長い距離を歩き過ぎたようです。

例えば30分歩いて次の日に痛みが出たとしたら、まずは痛みが治まるまではウォーキングはお休みにして、痛みが収まって次の機会は15〜20分ぐらいから始めましょう。

この「強度」と「量」によって運動にかかる「負荷」を決めます。負荷=「強度」×「量」となり、アスリートのトレーニングでもこれが基本となります。けがをした後の競技復帰プログラムでは、身体を動かしてそこに栄養が届かなければ治っていきません。かと言って復帰を焦って負荷を強くし過ぎては、痛みが再発してしまいます。ちょうどいい運動が必要なのです。

このような説明がちょと難しいかなと感じる人にはこんな風に伝えます。「とにかく自分の身体の心地よさを大切してください。」まずは、動く意欲を起こすことが大切ですからね。

しかしその心地よさが感じ取れなくなってしまっている人もいます。交感神経も副交感神経もその力が低下していて、体内感覚が鈍ってしまっている人です。

例えば、脚がむくむほど循環が乱れていたり、自分の力では姿勢が支えられないような人です。そんな方は意外と頭がスッキリするほどがんばって運動してしまうことがあります。私が言う心地よさはおなかの奥に感じるもので、頭のスッキリとは違います。

そんな方は10分も20分も運動するより、一日に何回か大きく背伸びをするほうが効果的な場合もあります。犬や猫が動き出す前にするように伸びるのです。一回あたりは1〜3回程度で十分ですから、もうこれ以上息が吐けないと言うくらい吐きながら伸びて、ふっと力を抜いて自然に吸い込まれる空気を感じてください。そしてしばらく呼吸だけしてゆっくりと血液を流し、あとは自分の心地よいペースで生活するのです。そして時々、おなかが重く感じたり、姿勢が保てなくなったなと感じたら、またグーっと伸びをして呼吸を整えます。

実際には、どんな風に伸びて、どんな呼吸をすると心地よいのかは研究してみてください。運動や健康法の第一歩は、まず自分の身体に耳を傾けることですから。