おなかにてあて

子どもに伝えるおなかのお話

おなかの疲れと頭の疲れ

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長時間座って夢中になってパソコンをしていた後に立ち上がって、背中が丸まって伸ばせないなんて経験がありませんか?きっと多くの人が経験があると思います。

どうしてこうなってしまったのでしょうか。

背中を丸めた前屈みの姿勢は、肺が圧迫され、おなかに力が入らず呼吸が浅くなります。肩で呼吸をして、おなかに呼吸の波を伝える横隔膜が動かなくなるのです。立ち上がって全身運動をしているわけではないので、そんな浅い呼吸でやり過ごすことができても、全身に酸素や栄養が十分に届かなくなっていきます。それでも夢中になって休まないでいると、今度は脳の疲労がどんどんひどくなってしまいます。頭は通常、全血流量の15%が循環しています。頭を使い続けることは思っている以上にエネルギーを消費するのです。

では、何に気をつければ良かったのでしょうか。筋肉にフォーカスして考えてみましょう。

筋肉には大きく分けて2つのタイプがあります。主に腕や脚を曲げる時に使うのが屈筋で、腕や脚を伸ばしたりする時に使うのが伸筋です。それらの特徴は屈筋は性質的に速筋とも言われ、大きな力を発揮することができます。ただし、長時間働き続けることは苦手です。反対に伸筋は遅筋と言われ小さな力しか出せませんが、姿勢を保つのに身体を支えるなど、長い時間働き続けることができます。遅筋には多くの毛細血管が張り巡らされ、体内の化学工場でもあるミトコンドリアがたくさんあります。そのため、酸素や糖、それに脂肪を使って筋肉を収縮させるエネルギー源をたくさん作ります。逆に速筋にはそれらが少ないのです。

またこんな特徴もあります。おなかの疲れは屈筋に現れ、頭の疲れは伸筋に現れるのです。座ってパソコンをする姿勢も、ある程度までは伸筋の背筋を緊張させ前かがみにならないように気をつけていられますが、休まずに続けていると、頭が疲れて背筋につからが入らなくなってしまいます。それで段々と前かがみになり呼吸も浅くなるために、酸素を必要とする遅筋の背筋はどんどん疲れてしまいます。一方で前かがみの姿勢のため、肺だけではなく心臓や胃腸も圧迫されて苦しくなってきます。今度はおなかの疲れから屈筋である腹筋がどんどん硬くなって、より身体を前かがみに倒していきます。悪循環ですね。

理想的なのはある程度腹圧を保ち、均等に背筋と腹筋に力が入っている姿勢を保つことです。
力が入っているといっても力んでいるのとは違います。腹圧を保ち、リラックスした呼吸をして、特にからだを支える伸筋が疲れないようにするのがコツです。あとはこまめに手を休め、立ち上がって深呼吸をしてください。そもそも長時間座っていることは身体に悪いことが化学的に証明されています。