おなかにてあて

子どもに伝えるおなかのお話

波を伝える

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一昨日、凪は2歳の誕生日を迎えました。産まれてから風邪ひとつ引かずに元気に育ち、名前の通り毎日笑顔いっぱいで過ごしています。「風が止み、波が穏やかになること」そんなふうに生きてくれたらと、凪(なぎ)と名づけましたが、この2年社会はそれとは真逆に、今までかつてないぐらいの時化(しけ/強風などの悪天候のために海上が荒れること)の只中にあり収まる気配が見えないぐらいです。そんな中自分の思いだけに囚われることなく、これからの社会の中でどう生きていくか、どう社会に貢献していくかも考えなくてはいけませんが、それでも凪が表情に見せる穏やかな波のリズムは、どんな不安定な時代にも大切にしなくてはいけないことがあるように思い起こさせてくれます。

凪は家族みんなで出かける犬たちの散歩の時、見かける虫やカエル、鳥たちに興味を向けながらのマイペースながらも、一度も抱っこをせがむことなく歩けるようになりました。伝える言葉の数も増えてきて、相変わらずなきまね遊びが大好きです。動きや言葉の神経ネットワークが太くなり、伝わる波が強くなってきているように感じます。人の神経ネットワークは産まれてすぐの赤ちゃんの時に一番複雑に張り巡らされているそうです。それが成長するにつれて、使って鍛えられたところは太くなり、あまり使われないところは退化していってしまうそうです。そういった意味でも環境が成長に及ぼす影響は非常に大切なのです。

大人になる頃には、鍛えられて熟練した機能もあれば、全く必要とせず退化してしまった機能もできてしまいます。我が身を振り返れば、治療家という役割を得て何とか社会に役立てているかと思うこともあれば、何だか知らず知らずのうちに見失って、見えなくなっているものがあるのではと思わずにいられない時もあります。そんな危機感から、自分の小さな感覚に囚われ過ぎて周りが見えなくならないようにと、この2年間はインターネットが発達していなければ知り合うこともできなかった人たち、逆に身近過ぎてあまり話す機会を持たなかった人たちとも積極的に交流して、自分に見えてないものを少しでも意識できるようにしてきました。そんな交流をする時にも、何となく今までの生き方の中でできてしまった凝り固まった感覚を、一度どけてから耳を傾けるということをしなくてはならず、大人として生きるのは大変だななんて思ったりします。

それでも幸せなことに、私の周りには小さな子どもがいて、動物たちがいて、山があり川があり、いつも悩んだら「とにかく今を夢中で生きなさい」と教えてくれます。

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