おなかにてあて

子どもに伝えるおなかのお話

からだの中の海

f:id:naizotyosei:20210717080134j:plain

遠い遠い昔、生き物は海から生まれました。初め単純な一つの細胞でできていた生物は、水の流れの中をゆらゆらと漂って、水の流れが栄養を届けてくれて、細胞から出た不要なものを運び去ってくれるのを待って暮らしていました。海に包まれ、その環境に身を任せて生きていたのです。

そして、様々な環境下でも安定して暮らし、子孫を残していけるように、自ら移動して栄養となる食べ物を探して生きる種属が生まれたのです。段々と進化して多細胞生物となり、移動するための運動器を発達させ、食べ物を取り込み消化する消化器官を発達させました。体を作る細胞が増えれば、それぞれの細胞に体外から栄養を届け、細胞から体外に老廃物を持ち出さなくてはいけません。そこで、それぞれの細胞と環境をつなぐ循環器が必要となりました。つまり、進化の過程で海の流れを、体の中に循環器という形で取り込んだのです。

その結果、体の中に海を作ったことで、生き物は乾燥した陸上でも暮らせるようになりました。乾燥した陸上で暮らすためには、体の中の海が十分に潤い、巡っていなければなりません。我々が、血液やリンパの流れをきれいに保つことはとっても大切なのです。血液やリンパ液はただ栄養を運んでいるだけではなく、多くの細胞を協調して働かせるためにホルモンを運んだり、栄養やホルモンと一緒にウイルスや細菌を運んでしまわないように、免疫も働かせています。

海や川の流れがきれいであってほしいように、私たちの体の中の流れもきれいであってほしいですね。

onaka-teate.jp