おなかにてあて

子どもに伝えるおなかのお話

言葉を響かせるところ

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「ブタさんは?」「ブーブー」

「カラスは?」「カーカー」

「クロとダイコは?」「ワンワン」

また凪がなきまね遊びをしています。そして次に自分を指差してこちらを見つめるので、私が「凪」と言ってあげるとニコッとして、今度はこちらを指差すので、「父ちゃん」と言ってあげるとさらにニコッとします。自分が認識しているものと言葉がつながって嬉しいみたいです。

人と人は言葉を使って情報を交換します。私も治療の場面で「痛いですか?」「つらいですよね」と言葉をかけることがありますが、これがとっても難しいのです。共感してもらうことによって安心する人もいれば、「痛いのは分かっているわよ、だから来てるのよ」という顔をする人もいます。中にはこちらから「痛いですか?」と聞いてしまうと、余計に痛みを意識してつらくなってしまう人もいるのです。うまく言葉をかけられなかったときには、「言葉に頼りすぎてしまった」と後から反省します。なぜなら私が相手にしているのはその人の奥にある自律神経や潜在意識だからです。

上古代の日本語は世界に類をみない類まれな言語だったと聞いたことがあります。上古代の日本の言葉は、ただその言葉の意味を伝えるのではなく、それが表す響きから空間まで、そしてその奥にある世界まで全て伝えるものだったそうです。今の情報伝達としての言葉よりむしろ動物たちのなき声に近いものだったのかもしれません。顕在意識がたった全体の5%しか表現していなく残り95%が潜在意識だということからも、今の言葉の伝達よりもはるかに高度なものだったのでしょう。

言葉はそれを響かせるところを間違うと、言葉にすればするほど、伝えたいものから離れていってしまいます。社会が不安定なときにはぎこちないやりとりが増えます。まだまだ私には表現し切れていないことがたくさんあるなと感じて止みません。

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