おなかにてあて

子どもに伝えるおなかのお話

言葉が伝えるもの

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散歩の途中、「カーカー」と凪が畑の中を歩いているカラスを指さして鳴き真似をしています。まだまだ言葉にならない言葉が多いですが、凪は響きを使って様々なことを伝えてくれるようになりました。誰に似たのかほんとにお喋りで、おうちで遊んでいる時なんて軽く2時間ぐらいは休まず喋り続けていることがあります。そのあふれ出る表現したいものがあることは大切にしてあげたいです。

我が家のおうちの中にはいつも犬や猫たちがいるので、みんながいつも何かしらのことを伝え合っています。それは何気ない感情の起伏であったり、食べたい遊びたいの欲求であったり、たまには誰かが誰かに不満を言ったり、そんな細やかなことばかりです。凪にもそんな環境が影響しているのでしょう。面白いことに私が気まぐれ猫のシロに「なあなあシロ」なんて人間の言葉を使って話しかけてもてんで知らん顔して寝ているのに、私がブラーマーリー呼吸法を「ん~」と始めると、シロは「な、な、何?」なんて顔をしてこちらをじっと見つめます。情報を伝えるだけの言葉より響きの中に伝わるものにこそ反応するのです。

人と人とのコミュニケーションの中でも相手の感情を読み取る際、表情や顔色、声のトーン、話す速度、ジェスチャー、視線などは、言葉以上に大きな役割を果たし、その言葉によらないコミュニケーションを、非言語コミュニケーションと呼びます。元々人間も伝えたいものがあり、それを無意識に表現していたものが言語としてのコミュニケーションとして発達してきたのでしょう。しかし、近頃の社会では言語でのコミュニケーションと非言語のコミュニケーションがちぐはぐな場面をよく見かけます。心にも無いことを喋っていたり、そもそも何を表現したいのか分からないのに話さなくてはいけなかったり、意識と無意識がバラバラになってしまっているのです。そして、こんな状態が長く続くと身体はバランスを失い健康を損なってしまいます。

我々治療家の日常では、クライアントさんから言葉にならない苦しさを聴き取ることがばかりです。そしてきっと、言葉にならない苦しさを自分の意識でコントロールして表現できるようであれば自分で健康に戻れるように揺れ動くことができるのでしょうが、それができなくて悩んでしまっている人から相談を受けるので、私たち治療家は非言語のコミュニケーションもフルに活かしながら、言語を意識的に整理して相手が受け取れるように伝えなくてはいけません。そしてその言葉の奥底に、「あなたに元気になってもらいたいんです」という無意識に伝えたいことがあってこそなのです。

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