おなかにてあて

子どもに伝えるおなかのお話

不安定だからこそ安定する

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「人は不安定だからこそ安定するのである」

このような一見矛盾するような表現が、命を支えるしくみ「ホメオスタシス」を説明するときに使われます。一つにはその生体を取り囲む環境が不安定に変化するのに対し、生体が安定を求めて進化して生き残ってきたことを表現していて、もう一つには人の体は機械のようにある程度固定された構造ではなく、常に細胞が新しく生まれ変わりながら柔軟に変化しうるよう不安定な構造をしていることを表しています。

私はこのことを「ゆらゆらと揺れている」と表現します。

今年は今までかつてないくらい不安定な年になってしまいました。ゆらゆらと揺れている程度なら良いのですが、あまりに不安定だとただ立っていることすら苦しくなってしまいます。それでも必死に体をこわばらせて立ち続けていたらどうなるでしょう。やがて体は力が抜けなくなってしまいます。全く動かない細胞は2、3分もすれば壊死し始めてしまうのです。それでは本当につらくなってしまいホメオスタシスは働きません。そんなときはそっと足を軽く開いて左右交互に重心を移動させ、目を閉じて心地よくゆらゆらと体を揺らしてみましょう。そうすれば段々と体の力が抜けてきます。じっと動かないで立っているより少し揺れている方がほうが安定しませんか。

しかし立っているのが本当につらいときは、横たわって目を閉じて静かに呼吸をしてみてください。力む必要はありません。頭を空っぽにしてただ呼吸に集中すればいいのです。そのうち体が勝手にゆらゆらと動いてきます。そして段々と体の力が抜けてきます。どんなに不安定なときでも、静かに心地よく揺れていれば体はまた安定してくるのです。

海辺に住む人たちは、風が止み波が穏やかになることを「凪」と言います。「おなかにてあて」ももっと揺らぐように言葉を綴れたらと思います。また来年会いましょう。

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