おなかにてあて

子どもに伝えるおなかのお話

流れの中の引っかかり

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エネルギー消費の大きい哺乳類と鳥類は進化の過程で血液の流れを二つに分けました。
一つは肺を巡り、酸素を取り込み不要となった二酸化炭素を排出する肺循環(小循環)。
もう一つは取り込んだ酸素を体中に配り、不要となった二酸化炭素を集める体循環(大循環)です。
人間も、こうして循環の役割を分けることにより大量の酸素消費を可能にして体温を一定に保つ能力を得ました。
この二つの循環はどちらも心臓を経由するため、循環のどこかで流れが滞ると心臓に負担をかけてしまいます。
そして生きている限り心臓は健気に休むことなく働き続けるので、できるだけ負担をかけないように労ってあげなくてはなりません。
そうしなければ無理をさせればさせるほど寿命を縮めてしまうのです。

ですから、この2つの大きな血液の流れの中で、どこに引っかかりがあるのか見つけることにより、心臓への負担を和らげてあげることができます。
肺循環の場合は当然肺の状態が大切なのですが、体循環の場合は主な5つの流れに分けて考えます。
全血流量に対する割合は以下に示した通りです。

  • 脳を通る流れ   15%
  • 肝臓を通る流れ  28%
  • 腎臓を通る流れ  23%
  • 骨格筋を通る流れ 16%
  • 皮膚を通る流れ    9%

この5つの流れに分けて考えることで、治療のポイントや暮らしの中で気をつけることが見えてきます。
例えば全血流量の15%に上る脳の場合、考え過ぎるだけでエネルギーを消費して疲れてしまいます。
「病は気から」とはよく言ったもので、健康について考え過ぎて悩んでばかりいれば、脳の血流を悪くしてしまいます。
つい考え過ぎてしまうときには、意識して気分転換をすることが大切です。
逆に体を酷使する仕事を続けたり、スポーツでオーバートレーニングをしていると骨格筋が硬くなり血液が流れにくくなってしまいます。
体を使い過ぎた後はストレッチをしたり、ぬる目のお風呂に入ったりして、血流を回復させてあげましょう。
その他、5つの中では最も割合の低い皮膚ですが、これも見過ごすことはできません。
程よく汗をかき、しっかりと水分を補うことによりお肌の柔軟性を保てば、毛細血管の流れが良くなり、心臓を楽にしてあげることができるのです。

特にこの5つの流れの中で割合の高いのが肝臓や腎臓の流れです。
肝臓は、血液の流れの中で栄養を吸収しやすいように化学変化させたり、体内に入った毒物を分解したりしています。
そして腎臓は、心臓と常に情報交換しながら体の中の水分や血圧、体液のバランスなどを調節しています。
体の中で多くの大切な役割を担っている肝臓や腎臓の機能が落ちたときには、心臓にも大きく負担をかけてしまいます。
肝心要、場合によっては肝腎要と言われるのは、特に心臓、肝臓、腎臓に気を配ることにより、血液の流れを保ち、健康でいられるからなのです。

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