おなかにてあて

子どもに伝えるおなかのお話

糖のやりくり

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グルコース(ブドウ糖)は糖質の中でも使い勝手が良く、人体のエネルギー源となる最も基本的な物質です。
グルコースは常に血中に溶けて全身を巡っていて、その濃度を血糖値と言います。血中のグルコースは、食べた物の栄養素を消化、吸収して取り入れられた物で、食事の度に補給されていますが、空腹時にはどうしても血糖値は低下してしまいます。
しかし、体は何もしていなくても常にエネルギーを必要としているため、食事から時間が経って栄養素が不足してきた時、他の栄養素を犠牲にしてでも、血中のグルコースを枯渇させないことが大切になります。

多くの体の組織は、血糖値が低下してくる空腹時には、グルコースではなく脂肪酸をエネルギー源として利用できます。
しかし、全身をコントロールする脳は体全体の20%ものエネルギーを、活動時だけではなく安静時も睡眠時にも消費し続けるにもかかわらず、脂肪酸をエネルギー源として利用できません。
その他にもその脳に酸素を送る、血液中の赤血球もグルコースに依存しています。
つまり、エネルギー源として最も優秀なグルコースは、生命を維持するために優先的に脳や赤血球に使われるようになっているのです。

そこで、長い期間飢えと戦ってきた我々の祖先は、進化の過程で使いきれない糖質や利用しきれないタンパク質を、脂肪細胞として蓄え、いざというときにまたグルコースに変えて使うようにして、エネルギーを効率よく使ったり蓄えたりするようになりました。
しかし身近で取れる物を食べ、砂糖が貴重だった時代と違い、今はお金を出せば甘いものはいくらでも手に入ります。
欲に任せて糖質を摂り過ぎていると、エネルギーを貯金してばかりで、下ろして使う暇がなくなってしまいます。
そうするとやがて、貯めた脂肪細胞を元に戻す力がなくなってしまうのです。

エネルギー源としてグルコースはとても大切ですが、車にガソリンを入れるように補給するのではなく、無駄遣いしないように脂肪細胞の貯金を使いながらうまくやりくりすると良いのです。
ブドウ糖の多いスポーツドリンクや清涼飲料水も、子ども達が水代わりに飲んでいたら大変です。
体に負荷のかかりやすい試合の時や、その日の暑さをみてお茶やお水と使い分けると良いですよ。

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